ハードコア将棋名人戦
2012/04
M3-2012春フリースペースにて上演
参加者:Agai、Tifara、Drake、Hocker、ハードコア将棋名人、むつつ
関連書籍:読むゴアグラ 巻之弐
早稲田大学将棋部「稲棋(2012年度)」へ投稿した文章
(個人名等を一部修正)
真剣勝負はアートだ
~将棋のパフォーマンスとしての可能性
Agai
早稲田大学将棋部の皆様こんにちは。秋季団体戦優勝と王座戦出場おめでとうございます。千葉大学から早稲田大学の順位戦や合宿に参加させて頂いていたAgaiと申します。
今回は紙面をお借りして、先日、私が主宰するバンドが、音楽のライブイベントで公開対局と大盤解説を行いながら生演奏をするという「ハードコア将棋」企画を敢行し、幾ばくかのインパクトを残した、というお話をさせていただきます。
【将棋に対する世間一般のイメージ】
将棋はたびたびコントの題材として取り上げられます。
そのほとんどが、静謐な空間で芸人が奇妙な行動を取り、しかし空気を壊さないために周囲は誰も笑わず、その様子が一層おかしさを増幅させる―― という、ズレと間の演出のためにシチュエーションとして利用されるものです(ドリフのコントにもありました)。
裏を返せば、一般人が抱く将棋に対するイメージというのは、真面目で、日本の伝統文化で、難しそうで、格調が高く、あるいは格式張っているなど、ステレオタイプなものが定着しているということでしょう。「○○名人戦」という設定なのに読み上げ係が存在するなど、テレビ将棋しか知らない方が多いという事の証左かもしれません。
【真剣勝負の雰囲気】
大学で将棋を指していた4年間+1年間は、それが当たり前だと思っていたのですが、今思い返すと、学生将棋大会の空気はとてつもなく重く、各選手や棋譜係、偵察に応援などその場にいる人間全員のベータ波が部屋の隅々まで張り詰めているような、異様な雰囲気に包まれていたように思います。
また、部屋の対局があちこちで終局するにつれ、残された大一番には何十人ものギャラリーが取り囲み、しかし誰も言葉を発さず、周囲がどんなに雑然としていても、チェスクロックの秒読みの音しか聞こえないというあの光景も、日常生活ではまず遭遇することのない状況です。
私は集中力がない上にあがり症なので、いつもそのような対局の当事者になりませんように…と祈りながら指していたのですが、あの、二人の対局者の一挙手一投足を、多くの観客が固唾を飲んで見守るという状況は、演劇における演者と観客の関係に似ているのではないか、と思いました。
大学卒業後はすっかり将棋を指す機会も減り、仕事の合間の趣味は、もっぱら学生時代から続けていたバンド活動と、様々なアート鑑賞に傾倒していたのですが、ふと、この真剣勝負の雰囲気を、そのまま一般ギャラリーの前に持ち込んだら、どんな反応が得られるだろうか? と思い立ちました。
【音楽の祭典】
突然ですが、皆様は「M3」という音楽イベントをご存じでしょうか。毎年春と秋に東京流通センターで開催される、日本最大の音源即売会です。CDを自主制作している音楽家がプロアマを問わず出展し、何千人もの音楽ファンが訪れ、音源を購入したり、交流を深めたりするイベントです。
我々のバンド「堕武者グラインド」も何度か出展していたのですが、最近規約に一部変更があり、それまではブース内で音を出すことは禁止されていたのですが、フリーマーケットのような地べたの区域で、楽器の演奏や歌唱などが認められる「フリースペース」という区画が新たに導入されたのです。
是非我々も参加したいと思いましたが、普通にパフォーマンスをしたのでは埋没してしまうので、何かインパクトのある企画を…と思案していた際に、先述の「対局の空間を持ち込んでみたらどうなるだろう」という思いつきを採用することにしました。
【千葉大学将棋部での下地】
早稲田の皆様にはあまり馴染みがないかもしれませんが、千葉大学将棋部の部誌「棋跡」は、毎回表紙に様々な工夫を凝らした写真を使用しています。
自転車置き場やゲームセンター、果ては銭湯など、およそ将棋の対局風景が似つかわしくない場所を選び、インパクトのある写真を心がけました。この他にも、始発の総武線車内、海水浴場、千葉マリンスタジアム、新宿旧コマ劇場前広場、麻雀博物館内などで撮影を行っています。
これは、私が現役生だった当時、外貨の獲得と他大との交流を目的として、部誌の販路拡大を目指したものの、例えば王座戦会場などでは誰も弱小マイナー将棋部の冊子など相手にもしてくれないので、まず表紙で他大との差をつけようという作戦でした。中身については、一流大学と比べれば粗さはありますが、決して読んで時間の無駄となるものではない、という自負も一応はありました。
この「どこでも将棋シリーズ」を表紙に採用し始めた頃は「不真面目である」とOBにかなり怒られましたが、決してふざけたり短絡的なウケを狙っている訳では(あまり)ないため、企画を継続し、今も現役生の手によって引き継がれています。勿論これを伝統として続けなければならない訳では全くないのですが。
こうした写真撮影のネタを出し合ったり、周囲の迷惑にならないように撮影方法を工夫したり、あるいは現地で交渉したり、部員一同で四寸盤や部の看板を担いで撮影に向かうのは、単なるネタを超えた楽しさがありました(先日NHKで、橋本崇載八段が研究会と称して海水浴場で将棋を指す場面がありましたが、手前味噌ながら、あのシーンよりはディテールにこだわっていた自負があります)。
ともあれ、これまでは静止画としてしか表現してこなかった「どこでも将棋」を、ライブとして観客に届ける絶好の機会が訪れたのでした。
【将棋をパフォーマンスとして成立させるために】
音楽イベントで将棋を指す、という大枠は決定したものの、さすがにそれだけではお客さんの注目を集めることはできないし、一時的に興味を引いてもすぐに飽きて去ってしまうと思われたので、様々なギミックを考えました。
・「ハードコア将棋」と命名
「より過激で荒々しい」という意味を持つ「ハードコア(Hardcore)」という形容詞と、およそ結びつかない将棋を繋げることでミスマッチ感を狙いました。
・大盤解説用の盤を設置し、現在の局面を再現
イベントの会場「東京流通センター」は芝浦に近いため、LPSAから盤をレンタルさせて頂きました。やはり大盤はインパクトがあり、多くの方々を立ち止まらせることに成功しました。
・現在の局面を音楽に例えて解説する
少々話が専門的になりますが、音楽のジャンルには「ハードコアテクノ」と「ハードコアパンク」があり、どちらも「コア=玉」を「ハード=堅く」囲うので穴熊に例え、さらにテクノは多くの方の市民権を得ているので居飛車穴熊、パンクは少数派だが強烈な攻撃性を誇るので振り飛車穴熊である…などと解説しました。将棋の指し手を音楽に例えることは、将棋世界などでたまに見かけますが「佐藤将棋は、まるで超絶技巧のバイオリンを聴いているようだ」など、もっぱらクラッシックを題材にすることが多い気がします。
・次の一手を観客が決める
将棋まつりにおける「次の一手名人戦」の逆バージョンで、対局中に観客に次の一手候補を提示し、観客の支持が大きい手を指すという企画です。観客の大半が将棋を知らないため、二人羽織的な、もどかしさの中にある面白さが見込めると計算しました。
なお、解説や次の一手については、私以外に将棋がわかるメンバーがバンド内にいないため、対局者の一方である私自身が担当しました。
・対局中に突然楽曲を演奏
我々のバンドは「グラインドコア」という、パンクやデスメタルの激しさをさらに極端にしたような「速く、うるさく、短い」ジャンルの音楽を演奏しているのですが、静かで緊張感のある対局中に突然私が「1234!」とカウントを取りメンバー一同が猛烈に演奏&絶叫、5秒ほどで中止し、また静寂に戻る… という流れを不定期に繰り返しました。
場を支配する「間」を急激に、強引に変化させることによって生じるズレを狙ったものですが、多くの観客は呆然とし、一部が爆笑している、という光景が客席では起きていたようです。
・対局者が対局中に心情を吐露
将棋漫画に欠かせないのが「これが神の一手だ!」的な台詞です。「月下の棋士」や「ハチワンダイバー」など、派手目な作品では特に顕著で、動きの少ないバトルである将棋を最大限に盛り上げるべく、対局者達が脳内で、あるいは口に出して叫んでいます。将棋入門書のマナー講座には「三味線を引かないように」と書いてありますが、必要に迫られてその禁を破ることとなりました。
・バックストーリーを考案
一見さんの興味を惹くためには、なぜ音楽イベントで将棋が行われるのか、大義名分を説明する必要があると考えたので「謎の棋士ミスターXが、音楽イベントの中止を要求して堕武者グラインドに対局を挑む」という簡単なアングル(抗争理由)を付与しました。
・対局の煽りビデオを作成
事前の宣伝で、二人の対局がいかに因縁に満ちたものであるかを表現するために、新宿将棋センターの一角をお借りして撮影を行いました。ニコニコ動画で「ハードコア将棋名人戦」というタグで検索するとヒットしますので、是非一度ご覧下さい
・大げさなポスターを作成
同人音楽という界隈はアニメやマンガ文化と密接に関わっているため、イメージイラストを絡めるのが上策と判断しました。普段我々のCDジャケットを描いて頂いている漫画家さんに依頼し、某棋戦をイメージした萌えポスターを作成しました。ポスター内には懸賞詰将棋として、ミスターXから貰った5手詰めを掲載。当日解けたら我々のCDを進呈、としました。会場内で真剣に考えてくれるお客さんが多く、ちょっと嬉しかったです。
・「ガキの使いやあらへんで」からの拝借
番組の打ち合わせ中に参加者の一人があらゆる奇行に走り、笑ってしまったら罰金を払わなければならない「七変化シリーズ」や、メンバーを番組側があらゆる手段を用いて笑わせにかかり、笑うと罰ゲームが待っている「絶対に笑ってはいけないシリーズ」などの空気感を参考にして、観客を「笑いたいのに笑えない」雰囲気に追い込むことを考えました。
【台本か真剣勝負か】
打ち合わせの際に、事前に完全な台本=棋譜を用意しておくか、それともガチンコ勝負を行うか? という点について話し合いましたが、結局、お互い穴熊に囲うところまでは手出しをせず、その後は完全に力勝負にする、ということにしました。穴熊は前述の「ハードコア」に係る解説に必要なため、相穴熊まではスラスラと進める、という取り決めは行ったものの、最後まで指し手を決めてしまっていては、例えその棋譜がどんなにドラマに満ちたものであっても、真剣勝負の雰囲気を醸成することは難しいと考えたためです。
また、今回ミスターX役を引き受けてくれた元学生強豪の某君は私と長年の付き合いであり、公式戦や部内戦など、重要な対局を含めて何百番と戦ってきた相手であるため、いざ盤を挟んで対峙すれば、面白さを演出するための企画といえども、自ずと指し手に気持ちが込められるようになりました。
このあたりのさじ加減の難しさ、あるいは虚実一体となった混沌の面白さについては、プロレスファンの方であれば共感して頂けるのではないでしょうか。
リハーサルのため、練習スタジオに盤駒を持ち込み、どんな指し手の時に何を演奏するか、間の取り方はどうか、解説が分かりやすく一見さんに伝わるかについて、練習と検証を重ねました。スタジオのスタッフから見たらさぞ異様な客だったでしょう。
【パフォーマンスの流れ】
平成24年4月30日、いよいよ本番の日がやってきました。広大なフリーマーケットのような会場には、あらゆるジャンルの音楽ファンが千人単位で詰めかけていましたが、ギターやベース、アンプやスピーカーに混ざって、巨大な将棋盤が掲げられている様は、多くの人目を惹いたようでした。
開場から90分が経過した午後1時、いよいよ「第一期ハードコア将棋名人戦」が開幕しました。事前の告知が奏功したか、すでに20人ほどのお客さんが集まってくれていました。我々演者に与えられたスペースが1.8m四方の空間ということを考えると、既に満員御礼といっていい人数です。
まずは露払いとして、女性歌手の方に依頼した「君が代」の独唱がスタート。「ファンの皆様はご承知のとおり、将棋のタイトル戦前には必ず国歌独唱が行われておりまして」という私の嘘解説にリアクションが薄かったところを見ると、疑問なく受け入れた方が多かったのかもしれません。
上手:ミスターXが駒箱を開け、駒袋から駒を四寸盤(大庭美夏さん@LPSAから頂きました。ありがとうございました)に散らします。ことさら優雅な手つきを意識し、大橋流で初期配置を形作る私とミスターX。我々将棋ファンにとっては通い慣れた所作ですが、初めて見る方々には珍しく感じるのか、真剣な眼差しを多数感じました。
「持ち時間はそれぞれ10分、それを使い切りますと~」という説明も自分で行います。
将棋を知らないメンバーに「最初はかならずこう指すから、そのとおりに発声して」と伝えておいたとおりに序盤を進めます。
先手、▲7六歩。後手、△8四歩。先手、▲6八
読み上げ「飛車アアアアアアアアアアアアアア!!!!」
私 「1、2、1234!」
ドガガガガガズココココココババババババ、と普段我々が行なっているとおり騒音を撒き散らします。10秒ほど暴れたら再び沈黙。観客に「今のは何だったんだ?」という混乱を十分に味わってもらった後、後手のミスターXが長い指をしならせて静かに△3四歩と突き出します。これを繰り返して対局は進行しました。
演奏風景はこんな感じです。(画像)立っているギターとベースが大盤担当、私は体に隠れて見えませんが曲の際にはドラムを叩いており、右手奥にはパーカッションがもう一人いました。ミスターXには、何があっても絶対にリアクションを取らないでくれ、と頼んでありました。
【将棋の内容】
局面は第1図へと進行しました。打ち合わせ通りの相穴熊で、お互いに力を出せる形です。
ここで一旦局面を止めてミスターXに封じ手を記入してもらい、うやうやしく封筒に入れ、お客さんに読み上げてもらいました。△5六歩が第一感と(自分で)解説しましたが、封じ手は△3五同歩。
(第1図)
以下後手が仕掛ける猛攻を先手が手に乗っていなし、駒得を重ねて優勢となった第2図で再び対局を中断し、次の一手候補をお客さんに提示しました。
(第2図)
「普通に指すなら▲3九歩。しかしハードコアに攻撃を継続するなら▲3一角です!」とヒントを出したところ、9割以上の方が▲3一角を選ぶ結果に。穴熊党ならずとも、何も考えずに受けたい▲3九歩を指せず、頭を抱える私。この「指したい手があるのに指せない」という面白さを表現するためにも、次回のハードコア将棋名人戦では解説役を一人追加したいと思いました。
(第3図)
後手の猛追を受け形勢は急接近。先手のまずい攻め方もあって第3図では完全に逆転しています。利きの足りない地点に銀を叩き込むこの手が、▲同金△同銀▲同馬に△4八金を見越した強手。この手の破壊力を表現するため、メンバー一同力の限り楽器を掻き鳴らし、乱打し、絶叫していたところ、会場スタッフからチェックが入りました。
(第4図)
底歩の防波堤を突破され、必至が掛かった第4図。以下▲3一銀△1七香▲同玉△1六歩▲2六玉△1七角と進み、そこで私は芝居がかった声で
「俺は……俺はこんなところで負けるわけにはいかない! 一緒に戦ってくれているメンバー、応援してくれるお客さんのためにも、こんなところで力尽きるわけにはいかないんだ! くらえミスターX、これが俺の逆転の一手だッ!」と叫んで▲2五玉と上がり、△3五角成と詰まされた瞬間に頭を下げました。
【私と将棋】
投了した瞬間、40人くらい居た客席から一斉に爆笑が起こり、続いて長い拍手を頂きました。これは本当に嬉しかったです。
次の一手で最善手を指せなかったとはいえ局面はまだ有利だったので、一生懸命指した結果の逆転負け…という終わり方でしたが、非常に充実感がありました。
私は中学生の頃からとにかく終盤が弱く、またポカも多く、ここ一番で何度逆転負けを喫したかわかりません。部内戦で美濃崩しの▲7四桂によるトン死を何度喰らったかわからず、それが嫌で穴熊を始めたくらいです。ただでさえ鼻っ柱の強い連中があつまる学校だったので、中高6年間は辛辣な評価を部内で受けることも多く、常に劣等感を抱きながら、しかし今更辞めるわけにもいかず、常に悶々としながら将棋を指していました。
大学に入り、一旦環境がリセットされ、部員を率いる立場となったため、以前と比べて伸び伸びと指せるようにはなりましたが、それでも急所の局面で信じられない見落としをすることが多々ありました。もちろん実力不足と努力不足が原因なのですが「なぜ自分は強くなれないんだろう」と塞ぎ込むことがありました。
それが今回、将棋を知らない方にも笑いを届けることができ「自分の将棋にも価値があるんだ」と、救われた思いがありました。笑われるのではなく笑わせたのだと。そして、学生時代には常に自分の一歩も二歩も先を行っていたミスターXに対して「うまく寄せてくれてありがとう」という気持ちになりました。
【周囲の評価は】
何だか自己陶酔的な文章が続き申し訳ありません。
対局が終わって最初に感じたのは「真剣勝負の雰囲気は、伝えることができるのだな」ということでした。恐らく延べ100人以上、チラ見を含めればそれ以上の方に、我々の対局風景を観て頂くことができたと思います。北尾まどか女流プロが社長を務められている「株式会社ねこまど」様からはフリーペーパー「駒doc.」を100部ご提供頂きましたが、イベント中に殆ど配りきることができました。
先述の第3図で最後の演奏を行ってからは一切ネタがなく、終局へ向けて将棋の対局が淡々と進むだけなので、飽きて離れていくお客さんが多いかと思いきや、終局後に客席を見渡したら満席状態が継続されており驚きました。我々の演奏が唐突に始まって唐突に終わるため「まだ何かあるのではないか」と、席を立つタイミングがつかめなかったというせいもあるでしょうが「将棋は分からないけど、あまりにも対局者たちが真剣なので、つい見入ってしまった」という感想を何人もの方から頂きました。
アマチュアの対局でもこのような評価を得られるのであれば、もしプロの方々が、街角や将棋と全然関係ないイベントで「ゲリラ将棋」を始めたら、より多くの方の注目を集められるのではないか、と思わずにはいられません。
また「ぎゅうぎゅう詰めに配置されたパフォーマー立ちが無秩序に音を出す混沌の中、逆に静寂を表現することで目立っていた」という意見もありました。
嬉しかったのは、ポストロックバンドのギターを担当されている方に「54-71(バンド名)以来の衝撃だった」と評価して頂いたことです。分からない方には何のことだかサッパリな話で申し訳ありません。ROCKIN'ON JAPANの編集長は古河女流二段の弟である、ということで許してください。
【今後の方針】
上々の反応に気を良くした我々は、2013年5月に東京ビッグサイトで開催されるアートの祭典「デザインフェスタ」に応募することにしました(編注:実際に参加したのは2015年5月)。今度は将棋と組み合わせるパフォーマンスにもより力を入れ、局面にあわせて弦楽四重奏の曲が変わっていったり、傍らでジャグリングを行ったり、絵描きさんを招いてライブペインティングを行ったり、様々な企画を考えています。将棋以外に一芸があり、我こそは! という方は是非当方までご連絡ください。
【将棋の魅力とは】
「棋は対話なり」という言葉がありますが、二人の人間が盤を挟んで真剣に対峙すれば、その空気は周囲に伝わるのだ、という事が今回のライブで確認できました。たった一度の活動でこのように言い切ることは片腹痛い面もありますが、将棋を指すこと自体が一種の芸術活動と言えるのかもしれません。
秋季団体戦優勝を果たした方々にこのようなことを申し上げるのは的外れかと思いますが、将棋には勝負を争う以外にも、自分らしさを表現するツールとしての側面もあるように思いました。
【終わりに】
2011年度版の稲棋に掲載されていた、杉村宏之氏の「How to make 将棋部」における「好きな将棋を通じて、世界がどんどん広がっていく」という一文に深く共感しました。
今後も、真剣勝負をスポイルすることがないように十分気を付けた上で、将棋の魅力をより多くの方に伝えられるよう、活動を継続していきたいと思います。勝手で長々としたご報告にお付き合いいただき、ありがとうございました。
【宣伝】
このイベントの際に頒布をした「ハードコア将棋名人戦」という我々のミニアルバムには、イベントの裏話や詳細な自戦記が同梱されておりますので、ご興味を持たれた方は是非ご覧くださいませ(同人ショップ「あきばお~こく」にて委託販売中です)。
また、この対局で使用した対局時計「萌えるチェスクロック」は、千葉大将棋部の同期がベンチャー事業として企画、製造、販売を行っております。豊富な機能とバラエティに富んだ読み上げ声(若本規夫・釘宮理恵・能登麻美子など)が特徴です。同人ショップやアマゾンでも購入可能です。